死者は自然と調和して森へ還る「森の墓地」の魅力と日本の「森の墓苑」とは?

スウェーデンの首都、ストックホルムの南に位置する「森の墓地(スクーグスシュルコゴーデン)」は、20世紀以降の建築家やデザイナーたちに多大な影響を与えた北欧モダンの巨匠、エリック・グンナール・アスプルンド(Erik Gunnar Asplund)が生涯をかけて手がけたスウェーデン最大規模の埋葬地です。


森の墓地
完成から50年以上経った1994年、20世紀を代表するランドスケープデザインの傑作として評価され、ユネスコ世界遺産に登録されました。
黎明期の北欧近代建築、広い空と緑が美しく融け合う森が主体の墓地であり、初めて訪れる方は、一般的なお墓のイメージとはかけ離れた開放的かつ清らかな空間に圧倒されることでしょう。

死者は自然と調和して森へ還る「森の墓地」

森の墓地景観
「森の墓地」誕生のきっかけは、1914年に開催された国際建築コンペティションです。
芸術的表現と自然との調和がテーマであったこのコンペティションで見事一位を勝ち取ったのが、当時28歳であった無名の若き建築家、アスプルンドと学生時代からの友人であるシーグルド・レーヴェレンツでした。
その後、25年という長い歳月をかけて完成に至りました。
墓地の開園からまもない1940年10月、アスプルンドは55歳の若さで永眠。
アスプルンドは自ら手がけたこの墓地にいまも安らかに眠っています。

「森の墓地」は、死者は森へ還る、という北欧の死生観を全身で体感できる場所。

神秘的な静寂さを醸し出すなか、お墓とは思えないほど穏やかな景観、不思議なぬくもりに心が和み、それは誰しもが直面する死への意識、恐怖がほどけるように消えていく感覚でもあります。
木々の合間に十分なスペースをとって整然と配置される墓石はどれも低く、非常に質素なもの。

一方、遺族による色とりどりの供花、丁寧に手入れされた四季折々の草木が目を楽しませてくれます。
ぜひ敷地内のベンチに腰掛けて、森の声に耳を傾けてみてください。

墓地の入り口正面に見えるのは、信仰というよりも「生~死~生」という生命循環のシンボルとしてつくられた、アスプルンド設計の花崗岩でできた巨大な十字架。

森の墓地巨大な十字架
そのまわりには墓地の主要施設である「森の火葬場」と複数の礼拝堂があります。
「森の火葬場」の西側にはニレの木が生い茂るゆるやかな丘が。

瞑想の丘

鳥のさえずりと心地よい風を感じながら敷地内を見下ろせるこの高台は「瞑想の丘」と呼ばれ、レーヴェンツにより設計されました。
丘から奥へと続く「七井戸の小道」と呼ばれる一本道は888メートルあり、針葉樹の原生林を切り開いてくつられた静かで優美な小道です。

森の墓地針葉樹

死者を弔う人びとの悲しみを癒すことができるようにと思いが込められたとのこと。
地元民には散歩やランニングのコースとしても親しまれているようです。

所在地

Sockenvagen 492, Stockholm
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アクセス

地下鉄 (Tbane) 18番線 「Skogskyrkgaden」駅下車、徒歩5分(車でのアクセスも可能。無料駐車場あり)

日本にある「森の墓苑」とは?

房総丘陵の美しい里山にオープンしてまもない「森の墓苑」は、自然と調和して森へ還る、という死生観を持つ点でスウェーデンの「森の墓地」と共通するものがあります。
「森の墓苑」WEBサイトはこちら

森の墓苑
20余年にわたり、自然生態系を守り育てる活動に取り組んできた公益財団法人日本生態系協会によって管理されるこの新しい墓地は…

墓石の代わりに在来の木を植え、生きものとともに育むことで、かつて開発で失われた森を再び豊かな自然の森に戻す。
http://www.morinoboen.org/#about

こちらをコンセプトにつくられました。
約2ヘクタールにも及ぶ広大な森が墓苑を囲み、多くの生き物が生息しています。
「森の墓苑」は生態系の一部であり、埋葬された遺骨は青々とした大地へと還っていきます。

森の墓苑景観スウェーデンの「森の墓地」と異なる点は墓石がないこと。
その代わり、地域に自生している植木から希望のものを選んで植樹されます。

約50年後には常緑のスダジイなどが背を伸ばし、房総丘陵にかつてあった緑濃い豊かな森に育っていくといいます。

宗派・信仰の有無を問わず利用でき、また大切なペットと一緒に入ることもできます。

所在地

千葉県長生郡長南町市野々815-2
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アクセス

電車:JR茂原駅下車 タクシー25分
車:茂原長南IC、市原鶴舞ICより15分

「森の墓苑」WEBサイト

http://www.morinoboen.org/

イベント情報

2019.05.26開催

【いろいろな生きもののための『すまい』づくり】

森の墓苑イベント
イベント詳細(※PDF)はこちら